とうとう、破れてしまった。
20年くらい前、オーストラリアでダイビングのライセンスを取った時に着ていた、SASのTシャツ。
ずっと大切にしていたわけでもなく、普段着として着ていたものだけれど、袖を通すたびに、あの頃の景色を少しだけ思い出す。
オーストラリアの空。
海の青さ。
初めて水中の世界に潜った時の感覚。
そして、あの頃の私。






20年という時間を一緒に過ごしてきたTシャツだから、破れてしまったのを見た時は、
なんだか少し寂しかった。
でも、もう十分頑張ってくれたよね。
捨てる前に、最後に写真を撮った。

「ありがとう」
そう言って、さよならする。
物はいつかなくなるけれど、
そこに詰まっていた思い出までなくなるわけじゃない。
Tシャツは手放しても、
あの海と、あの頃の私の記憶は、
これからも心の中に残っている。
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